ハンドヘルドオシロスコープとは
ハンドヘルドオシロスコープ(携帯型オシロスコープ)とは、片手で持てるコンパクトな筐体に、オシロスコープの波形観測機能を内蔵した測定器です。一般的なベンチトップ型(据え置き型)オシロスコープと同様に電気信号の波形をリアルタイムに表示・解析できますが、持ち運びが可能なため、屋外や現場(フィールド)での保守作業・診断作業に最適です。
主な特徴
ハンドヘルドオシロスコープは以下のような機能と特徴を備えています:
バッテリー駆動対応で、電源のない場所でも長時間使用可能
軽量・小型設計で持ち運びやすく、現場測定に最適
堅牢な筐体で落下や衝撃にも強く、屋外での使用に適応
オシロスコープ機能に加えて、マルチメータ機能や信号発生器を内蔵したモデルも存在
用途
ハンドヘルドオシロスコープは以下のようなシーンで活用されています:
工場や製造現場での機器保守・トラブルシューティング
電力・通信インフラのフィールド測定
車載電子機器や制御系の診断
太陽光発電・バッテリー管理システム(BMS)などの屋外設備の点検
教育・実習用の簡易測定器として
OWONのハンドヘルドオシロスコープ
OWON(オウォン)社は、高性能かつコストパフォーマンスに優れたハンドヘルドオシロスコープを複数展開しています。特に以下のシリーズが人気です:
■ OWON HDS200シリーズ
例:HDS272S(2チャンネル・70MHz)
特徴:
オシロスコープ + マルチメータの一体型
12ビット高分解能ADC搭載
バッテリー駆動で約8時間の連続使用可能
USB-C充電対応・手のひらサイズの堅牢設計
日本語対応ディスプレイ搭載
このシリーズは「1台で何役もこなす携帯測定器」として、技術者・エンジニア・教育現場など幅広いユーザーに支持されています。
また、信号をUSB経由でPCに転送し、データ解析や保存を行うことも可能です。
ハンドヘルド vs ベンチトップ
比較項目 |
ハンドヘルド型 |
ベンチトップ型 |
携帯性 |
◎ 非常に高い |
△ 基本据置 |
測定機能 |
○ 必要十分 |
◎ 多機能・高性能 |
バッテリー駆動 |
◎ 可能 |
× 不可 |
重量 |
軽量 |
重い |
用途 |
現場・出張対応 |
開発・研究用途 |
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