プローブ入門|オシロスコープ測定の第一歩
オシロスコープを使って正確な測定を行うためには、本体だけでなく「プローブ」の選定と使い方が極めて重要です。プローブとは、測定対象(回路や部品)から信号を取り出して、オシロスコープに伝送するためのインターフェースです。適切なプローブを選ばなければ、オシロスコープの高い性能も十分に活かすことができません。
プローブにはいくつかの種類がありますが、用途に応じて大きく以下の3つに分類されます。
① パッシブプローブ(Passive Probe)
もっとも一般的なプローブで、多くのオシロスコープに標準付属しています。内部は受動素子のみで構成されており、価格が安く扱いやすいのが特長です。一般的な信号測定や教育用途に最適です。OWONのADS800AやADS900Aシリーズにも高品質なパッシブプローブが付属しており、10:1切替などの便利な機能を備えています。
② アクティブプローブ(Active Probe)
高周波信号や微小信号の測定に用いられるプローブで、内部に増幅回路が含まれています。パッシブプローブに比べて価格は高めですが、帯域幅や入力容量が小さく、高精度な測定が可能です。
③ 差動プローブ・高電圧プローブ
回路のGNDとは異なる2点間の電圧差を測定する場合に使用されるのが差動プローブです。また、高電圧測定専用の高耐圧プローブもあります。OWONでは、光アイソレーション対応の差動プローブ(MOIPシリーズ)なども取り扱っており、安全性の高い測定環境を構築できます。
プローブ選びのポイント
プローブを選ぶ際には、以下の項目を考慮することが重要です:
■帯域幅:オシロスコープの帯域に合わせたプローブを使用しましょう。低帯域のプローブでは高速信号が正確に測れません。
■減衰比(10:1, 100:1など):高電圧信号を扱う場合は減衰比の高いプローブが必要です。
■入力インピーダンスと容量:測定対象に与える影響を小さくするには、高インピーダンス・低容量のプローブが望ましいです。
■安全性:CAT規格(過電圧カテゴリ)に対応したプローブを選ぶことで、測定者と機器の保護につながります。
OWONのプローブ製品
OWONでは、用途に応じた幅広いプローブをラインナップしています。教育機関向けの標準パッシブプローブから、高電圧測定や差動測定に対応した専門モデルまで、多様なニーズに応える製品が揃っています。オシロスコープ本体との相性もよく、手軽に高精度な測定を開始できます。
プローブは「測定の精度を左右する鍵」です。オシロスコープを最大限に活用するために、ぜひプローブの基本知識を身につけ、用途に合った最適な一本を選びましょう。
Previous:
プローブの校正方法(プローブ補正)|正確な測定のために
もっと用語集
-
波形ファイル形式(.csv, .bmpなど)とは
-
スクロール機能とは
-
自動スケーリングとは
-
リモート制御とは
-
データエクスポートとは
-
スクリーンショット保存とは
-
マーカー機能とは
-
測定カーソルとは
-
ゼロ調整とは
-
トリガー設定とは
-
プローブ補正とは
-
FFT解析とは
-
SCPIコマンドとは
-
周波数分解能とは
-
校正証明書とは
-
オシロスコープ 校正機能とは
-
RS-232とは
-
HDMI出力とは
-
LAN接続とは
-
オシロスコープのLAN接続とは
-
デモモードとは
-
オシロスコープの基本操作 第1回「接続と初期設定」
-
オシロスコープの基本操作 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」
-
オシロスコープの基本操作 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
-
オシロスコープの基本操作 第9回「よくある測定ミスとその対策」
-
オシロスコープの基本操作 第8回「オシロスコープで測定できる代表的な波形と活用例」
-
オシロスコープの基本操作 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
-
オシロスコープの基本操作 第6回「プローブの種類と選び方」
-
オシロスコープの基本操作 第5回「オシロスコープのメンテナンスとトラブル対策」
-
オシロスコープの基本操作 第4回「波形の保存とデータ活用」
-
波形ズームとは
-
オシロスコープの基本操作 第2回「トリガー設定」
-
スロープトリガーとは
-
位相測定とは
-
オシロスコープの基本操作 第3回「スケーリングと測定機能」
-
アラーム設定とは
-
パルストリガーとは
-
シリアルバス解析とは
-
プロトコルデコード(I2C, SPI, UARTなど)とは
-
電源波形測定とは
-
インバータ測定とは
-
波形演算機能とは