SSMBコネクタとは|小型高周波対応の精密同軸コネクタ
SSMBコネクタとは、「Subminiature version B(SSMB)」に分類される、非常に小型で高周波対応の同軸コネクタです。主にRF信号の伝送や高密度実装が求められる電子機器に使われており、GHz帯域までの信号伝送が可能なことから、スペクトラムアナライザ、ネットワークアナライザ、周波数カウンタ、プローブ類などに幅広く採用されています。
主な特徴
超小型設計(BNCやSMAより小さい):SSMBはBNCやSMAと比較して圧倒的に小型で、限られたスペースに多数の接続が必要な機器に最適です。
プッシュオン接続方式:バイヨネットロック(BNC)やねじ止め(SMA)ではなく、ワンタッチの差し込み式で、迅速な着脱が可能。
優れた高周波特性:最大使用周波数は一般に**3GHz程度(モデルにより最大4GHz)**で、50Ωのインピーダンスに整合。反射や損失が少なく、高周波の信号も安定して伝送可能です。
RF測定機器や高精度プローブで広く使用:特に、差動プローブやアクティブプローブの高周波入力部、信号出力端子に多く採用されています。
SSMBコネクタの主な用途
高周波プローブ(アクティブ・差動)の入力/出力端子
RFモジュールと測定器の接続
高密度実装された通信機器・測定装置
ハンドヘルド計測器の信号入出力端子
OEM機器や内部基板同士の高周波接続
他の同軸コネクタとの比較
項目 |
SSMBコネクタ |
BNCコネクタ |
SMAコネクタ |
サイズ |
非常に小さい(φ2.5mm程度) |
中サイズ(φ10mm程度) |
小型(φ4mm程度) |
接続方式 |
プッシュオン(差し込み) |
バイヨネット(回してロック) |
ねじ固定式 |
周波数対応 |
~3〜4GHz |
~2GHz程度 |
~18GHz以上(高周波対応) |
操作性 |
着脱が速く簡単 |
比較的容易 |
着脱にやや時間がかかる |
主な用途 |
高密度・高周波機器 |
一般的な測定機器 |
高周波回路/計測用途 |
使用時の注意点
脱着時に過度な力を加えないこと:SSMBはプッシュオン式で便利な反面、端子の破損やピンの変形が起きやすいため、丁寧に操作してください。
適切なケーブルとペアで使用:SSMBは専用の同軸ケーブルとセットで設計されていることが多く、汎用BNCケーブルなどとの変換には専用アダプタが必要です。
定格周波数とインピーダンスの確認:使用周波数が仕様を超えると信号品質が著しく劣化します。設計値に合った製品選定が重要です。
まとめ
SSMBコネクタは、小型で高性能な同軸接続を実現するプロフェッショナル向けインターフェースです。特に、RF測定機器や高周波プローブ、高密度基板内の接続などにおいて、空間効率と高周波特性を両立させるための最適解といえます。
適切な接続・操作を行うことで、信号損失の少ない安定した測定環境を構築することが可能です。
Previous:
オシロスコープのLAN接続とは
Next:
BNCコネクタとは
もっと用語集
-
プローブ補正とは
-
位相測定とは
-
FFT解析とは
-
スクロール機能とは
-
自動スケーリングとは
-
リモート制御とは
-
データエクスポートとは
-
スクリーンショット保存とは
-
マーカー機能とは
-
測定カーソルとは
-
波形演算機能とは
-
トリガー設定とは
-
周波数分解能とは
-
デモモードとは
-
SCPIコマンドとは
-
波形ファイル形式(.csv, .bmpなど)とは
-
校正証明書とは
-
オシロスコープ 校正機能とは
-
RS-232とは
-
HDMI出力とは
-
LAN接続とは
-
オシロスコープのLAN接続とは
-
プローブの基礎と活用術 第6回「プローブ故障のサインと交換時期」
-
ゼロ調整とは
-
オシロスコープの基本操作 第6回「プローブの種類と選び方」
-
プローブの基礎と活用術 第5回「測定精度を保つためのメンテナンスと保管」
-
プローブの基礎と活用術 第4回「プローブ補正のやり方」
-
プローブの基礎と活用術 第3回「減衰比と入力インピーダンスの関係」
-
プローブの基礎と活用術 第2回「正しい接続方法と注意点」
-
プローブの基礎と活用術 第1回「プローブの種類と役割」
-
オシロスコープの基本操作 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」
-
オシロスコープの基本操作 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
-
オシロスコープの基本操作 第9回「よくある測定ミスとその対策」
-
オシロスコープの基本操作 第8回「オシロスコープで測定できる代表的な波形と活用例」
-
波形ズームとは
-
オシロスコープの基本操作 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
-
アラーム設定とは
-
プロトコルデコード(I2C, SPI, UARTなど)とは
-
スロープトリガーとは
-
パルストリガーとは
-
シリアルバス解析とは
-
オシロスコープの基本操作 第5回「オシロスコープのメンテナンスとトラブル対策」
-
電源波形測定とは
-
インバータ測定とは
-
オシロスコープの基本操作 第1回「接続と初期設定」
-
オシロスコープの基本操作 第2回「トリガー設定」
-
オシロスコープの基本操作 第3回「スケーリングと測定機能」
-
オシロスコープの基本操作 第4回「波形の保存とデータ活用」