マーカー機能とは
マーカー機能とは、オシロスコープやスペクトラムアナライザなどの測定器において、波形や周波数スペクトル上の特定ポイントに「目印(マーカー)」を設定し、その位置の値(時間、電圧、周波数、振幅など)を数値で表示する機能です。測定対象の信号のピーク位置や変化点を特定しやすくし、視覚的にも定量的にも把握するために使われます。
マーカーの種類
使用する測定器の種類によって、マーカーの機能は異なります。
■ 通常マーカー
任意の位置に1点だけ配置し、その点の値を読み取る基本的な機能。
■ Δマーカー(デルタマーカー)
2つのマーカーを設置して、その間の差(時間差、電圧差、周波数差、振幅差など)を表示。周波数分解能や時間差の確認に有効。
■ ピークマーカー
波形やスペクトル上の最大値(ピーク)を自動検出してマーカーを配置。
■ トラッキングマーカー
時間や周波数をスイープする測定中に、設定した条件に応じてマーカーが自動で追従するモード。
主な用途
■ スペクトラムアナライザでのピーク周波数・レベルの確認
■ 信号の立ち上がり・立ち下がり点の時間間隔の測定
■ デジタル信号の周期測定やジッタ解析
■ 測定結果のドキュメント化や比較のための目印設定
マーカー機能のメリット
■ 任意の点を正確に数値化できる
■ 自動測定が困難な複雑な波形でも、視覚的に評価できる
■ 複数のマーカーを使うことで、相対比較が容易になる
■ グラフ上で数値を読み取る手間を減らし、測定効率を高める
注意点
マーカーの測定精度は、測定器の分解能やスパン設定に依存します。広い時間軸・周波数軸で使用すると、マーカー位置が実際の信号とわずかにずれることがあります。高精度な評価が必要な場合は、ズームやナビゲーション機能と併用することでより正確な値が得られます。
まとめ
マーカー機能は、測定波形や周波数スペクトルの分析をより直感的かつ正確に行うための基本ツールです。特に、複数の信号やピークの比較、変化点の特定などにおいては不可欠な機能です。測定のスピードと精度を両立させるために、積極的に活用することが推奨されます。
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