オシロスコープ 自動測定機能とは?
オシロスコープに搭載されている自動測定機能とは、画面上に表示された波形から各種の測定項目を自動で解析・数値化する機能のことです。
従来のアナログオシロスコープでは、カーソルや目盛りを使って目視で値を読み取る必要がありましたが、デジタルオシロスコープでは自動的に複数のパラメータを高速かつ正確に算出できるようになっています。
■主な測定項目の例
自動測定機能で測定できる項目は機種によって異なりますが、OWONをはじめとした一般的なデジタルオシロスコープでは以下のような項目が対応しています。
・周期(Period)
波形1周期の時間を測定します。
・周波数(Frequency)
1秒間に何回繰り返されるかを表示します。周期の逆数です。
・立ち上がり時間(Rise Time)
波形がある一定の電圧から高電圧まで上昇するのにかかる時間を示します。
・立ち下がり時間(Fall Time)
波形が高電圧から低電圧へ落ちる時間です。
・最大値(Max)/最小値(Min)
波形のピーク電圧や最低電圧を自動で計算します。
・ピーク・トゥ・ピーク(Pk-Pk)
波形の最大値と最小値の差です。振幅の大きさを示します。
・平均値(Average)/実効値(RMS)
電圧の平均や、電力に関係するRMS(Root Mean Square)値を算出できます。
・デューティ比(Duty Cycle)
パルス波形のON時間と全体の周期に対する割合を表示します。
■複数項目を同時に表示できる
OWONなどの多くのモデルでは、同時に複数の測定項目を選択し、画面下に一覧で表示することが可能です。
特定のパラメータだけを監視したいときも、1クリックで表示・非表示の切り替えができます。
■カーソルとの違い
カーソル機能でも同様に波形上の距離や電圧を測ることはできますが、測定位置の指定が必要で、手動操作になります。
一方、自動測定機能では指定したチャネルの波形全体から自動的に解析され、波形が変わればリアルタイムで数値も更新されます。
■活用シーンの例
・設計段階の信号確認に
基板試作時や回路動作確認時に、信号の周期や周波数、振幅が設計値どおりか素早く確認できます。
・製品出荷前の検査工程に
自動測定値をもとに合否判定を行うライン検査にも対応できます。人の目視によるばらつきを防ぎます。
・トラブルの早期発見に
瞬間的な波形異常が生じても、自動測定機能を用いれば瞬時に数値変化が検出されるため、問題を早く特定できます。
■設定と測定の手順(OWON製品の例)
1. 波形を表示する
入力信号を取り込み、安定した波形を表示させます。
2. メニューから「測定」を選ぶ
本体の「MEASURE」ボタンを押し、測定メニューを開きます。
3. 測定したいチャネルと項目を選択する
CH1やCH2などの対象チャネルと、FrequencyやVppなどの項目をチェックします。
4. 測定結果を画面に表示
選択した測定項目が画面下部にリアルタイム表示されます。
■自動測定を活かすコツ
・トリガを安定させる
トリガが安定していないと正しい周期や立ち上がり時間が取れません。正しいトリガ設定を併用することで、より信頼性の高い測定が可能です。
・波形のスケール設定を適切に
スケールが大きすぎたり小さすぎたりすると、正確な測定ができない場合があります。自動測定前に表示範囲を最適化しましょう。
■まとめ:自動測定は“見える化”の強力な味方
オシロスコープの自動測定機能は、波形の理解や異常検出を手助けする強力なツールです。特にOWON製のデジタルオシロスコープでは、直感的に操作できるインターフェースと多彩な測定項目が用意されており、初心者から上級者まで幅広い用途に対応します。
「どこを見ればいいか分からない」「数値で確認したい」という場面では、まずこの自動測定機能を活用してみるのがおすすめです。
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