■ファンクションジェネレータの使い方
ファンクションジェネレータ(Function Generator)は、さまざまな波形を任意の周波数・振幅・オフセットで出力する信号源です。回路の入力テストやフィルタ特性の確認、センサの模擬信号生成など、多くの電子実験・開発現場で利用されます。
●1. 接続方法と準備
まず、ファンクションジェネレータの出力端子(通常はCH1またはCH2)と、測定対象の入力端子をBNCケーブルや同軸ケーブルで接続します。測定系にはオシロスコープを併用して、出力信号が正しく生成されているかをモニターするのが基本です。
多くのモデルは50Ω出力となっており、負荷側も50Ωで終端されているときに最大出力電圧が正しく表示されます。高インピーダンス入力(1MΩなど)に接続する場合、出力振幅が約2倍になることに注意が必要です。
●2. 基本的なパラメータの設定
ファンクションジェネレータでは、主に以下の3つのパラメータを設定します:
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波形の種類(Waveform)
正弦波(Sine)、方形波(Square)、三角波(Triangle)、ランプ波、パルス、ノイズなどから選択できます。任意波形(Arb)に対応しているモデルでは、PCで作成した波形も出力可能です。 -
周波数(Frequency)
出力する波形の周期を設定します。数mHz~数MHz(または100MHz以上)まで設定できるモデルもあり、交流信号の模擬やクロック入力など幅広く使用できます。 -
振幅(Amplitude)とオフセット(Offset)
出力波形の高さと中心電圧を調整します。たとえば、振幅5V、オフセット0Vなら±2.5Vの範囲で出力。マイコンの入力テストなど、出力範囲が重要になる用途では必ず確認してください。
●3. 応用機能の使い方(モデルにより異なります)
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スイープ機能(Sweep)
周波数を一定の範囲で連続的に変化させるモードです。フィルタの周波数特性確認や共振点の探索に便利です。 -
バーストモード(Burst)
指定した回数だけ波形を出力して停止する機能。パルス応答など、一時的な入力テストに適しています。 -
変調(AM/FM/PM/FSKなど)
他の信号で波形の周波数や振幅を変化させる機能。無線通信や信号処理の実験に使われます。 -
任意波形出力(Arb)
ユーザー定義の波形を出力できます。専用ソフトウェアやCSVファイルを使ってPCで波形を作成し、USBまたはLANで本体に転送します。
●4. 実験例:ローパスフィルタの応答確認
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ファンクションジェネレータから正弦波(例:1kHz)を出力
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出力をローパスフィルタに接続
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フィルタの出力側をオシロスコープで観測
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周波数を上げていき、出力波形がどのように減衰していくかを確認
このように、ファンクションジェネレータは入力信号の代替として使える万能ツールです。
●5. 使用時の注意点
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出力端子は短絡しないように注意(パルスモードでは高電流が流れる場合あり)
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出力オフ(Output Off)ボタンがあるモデルでは、必ずOFFにしてからケーブルを抜き差し
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接続先機器の電圧耐性を確認し、誤設定での破損を防止
ファンクションジェネレータは「何を測るか」「どんな信号を入れたいか」によって活用方法が変わる機材です。基本波形の理解と、正確なパラメータ設定ができれば、電子計測の幅が一気に広がります。
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