信号発生器とファンクションジェネレータの違いとは?
電子回路の開発や評価を行う際、入力信号を人工的に生成するための装置として「信号発生器」や「ファンクションジェネレータ」という言葉をよく耳にします。どちらも似た用途に使われるため混同されがちですが、それぞれに明確な違いがあります。
本記事では、信号発生器とファンクションジェネレータの違いをわかりやすく解説し、用途や選定時のポイントについても紹介します。
1.信号発生器とは?
信号発生器とは、任意の周波数・波形・レベルを持つ信号を生成して、測定対象に入力する装置の総称です。広義では、ファンクションジェネレータや任意波形発生器、RF信号源、パルスジェネレータなど、さまざまなタイプの信号生成装置を含みます。
信号発生器には以下のような種類があります。
・ファンクションジェネレータ
・任意波形ジェネレータ(AWG)
・高周波信号発生器(RF Generator)
・パルスジェネレータ
・オーディオシグナルジェネレータ
つまり「信号発生器」は広い概念であり、その中の一種としてファンクションジェネレータが存在するという位置づけです。
2.ファンクションジェネレータとは?
ファンクションジェネレータは、信号発生器の中でも比較的低周波(数Hz〜数百MHz)に対応し、複数の基本波形を簡単に出力できる装置です。
主に出力できる波形は以下の通りです。
・正弦波
・方形波
・三角波
・ランプ波(のこぎり波)
・パルス波
・ノイズ波形
・任意波形(AWG対応モデル)
周波数や振幅、オフセットを自由に設定できるほか、スイープ、バースト、変調(AM、FM、FSKなど)機能を備えているモデルも多く、アナログ回路やマイコン開発、フィルタ特性の評価などに広く活用されています。
OWONのAGシリーズやXDGシリーズなどは、使いやすさとコストパフォーマンスを両立した代表的なファンクションジェネレータです。
3.違いを比較するとどうなる?
信号発生器とファンクションジェネレータは、役割や出力能力にいくつかの違いがあります。
まず、信号発生器は“上位概念”であり、ファンクションジェネレータはその一種です。したがって、ファンクションジェネレータを含むすべての信号出力装置を指す言葉として「信号発生器」が使われます。
また、出力周波数や精度にも差があります。
・ファンクションジェネレータは、主に低〜中周波数帯(最大100MHz前後)で、アナログ信号や基本波形の出力に向いています。
・一方、高周波信号発生器(RFジェネレータ)は、100MHz以上〜数GHz帯まで対応し、通信回路や高周波評価に使われます。
・任意波形ジェネレータ(AWG)は、複雑な非周期波形を再生できるため、センサ信号の模擬や特殊波形試験に適しています。
つまり、「どんな信号を出したいか」「どれくらいの精度・周波数が必要か」によって選ぶべき発生器の種類が変わるのです。
4.選び方のポイント
信号発生器を選ぶ際は、以下のような観点で選定するのが効果的です。
1.出力したい波形の種類
基本波形だけでよいならファンクションジェネレータ、特殊な波形も使いたいならAWG対応モデルが必要です。
2.必要な周波数帯域
測定対象の周波数に対して5倍以上の帯域を持つ機種を選ぶのが安全です。数十kHz程度であればファンクションジェネレータで十分ですが、数百MHz以上ならRF信号発生器が必要です。
3.振幅・分解能・出力インピーダンス
目的とする回路に適した振幅範囲、分解能(ビット数)、出力インピーダンス(通常50Ω)なども確認します。
4.操作性と拡張性
USBやLANによるPC接続、任意波形のインポート、画面の視認性なども重要なポイントです。
5.コストと信頼性
予算に応じて、機能を絞ったエントリーモデルを選ぶのも良い選択肢です。OWON製品は、性能と価格のバランスに優れており、初心者にも安心です。
まとめ:ファンクションジェネレータは信号発生器の一種
信号発生器はあらゆる種類の信号を生成する装置の総称であり、その中にファンクションジェネレータが含まれます。
ファンクションジェネレータは基本波形の出力に特化した汎用的な装置であり、低〜中周波数帯での電子回路の評価・学習・開発に最適です。
これから測定器を導入しようとしている方は、自分の用途に合わせて「必要な波形・周波数・精度」を整理したうえで、適切なタイプの信号発生器を選んでみてください。
OWONでは、ファンクションジェネレータを中心に、コストパフォーマンスに優れた製品を多数取り扱っています。はじめての方も、安心してお使いいただけるラインナップです。
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