OWONのファンクションジェネレータ徹底比較|AGシリーズ vs XDGシリーズ
OWONは、コストパフォーマンスに優れた計測器ブランドとして、世界中で高い評価を得ています。特にファンクションジェネレータ分野では、AGシリーズとXDGシリーズという2つの代表的な製品ラインを展開しており、用途や目的に応じた選択が可能です。
本記事では、OWON製ファンクションジェネレータの中でも人気の高いAGシリーズとXDGシリーズの違いを、機能・操作性・価格帯の視点から徹底比較します。初心者から開発者まで、どちらを選べばよいか迷っている方の参考になれば幸いです。
1.位置づけの違い|AGは入門向け、XDGはプロ向け
AGシリーズは、低価格・基本機能重視のスタンダードモデルとして、教育用途や電子工作、基礎的な開発に最適です。一方、XDGシリーズは、高周波・高分解能・マルチ機能を備えた上位モデルで、開発現場や研究機関でも十分に活躍できる性能を持っています。
AGシリーズ:シンプルで実用的。とにかくコスパ重視。
XDGシリーズ:高性能・高機能・大画面で操作性抜群。
2.最大周波数とサンプルレートの違い
ファンクションジェネレータの性能を大きく左右するのが「最大出力周波数」と「サンプルレート」です。
AGシリーズはモデルにより10MHz~25MHz程度の帯域に対応しており、マイコンやセンサのテスト、PWM信号の模擬など日常的な実験用途に最適です。
一方、XDGシリーズは最大100MHzまで対応しており、高速信号や通信系回路にも使える本格派スペックを備えています。
また、XDGシリーズのサンプルレートは最大500MSa/sに達し、細かく滑らかな任意波形の生成も可能です。
3.波形分解能と任意波形機能の違い
両シリーズとも、任意波形(Arbitrary Waveform:AWG)に対応していますが、分解能(ビット数)や波形長、編集機能に差があります。
AGシリーズは14ビット分解能で、簡易な任意波形の出力が可能です。内蔵波形も充実しており、基本的な波形生成には十分な性能です。
XDGシリーズはさらに精密な任意波形に対応し、より滑らかな波形出力や複雑な信号再現が可能です。PCソフトと連携して、CSVから波形データを読み込み、編集・保存・再生する機能も充実しています。
4.出力チャンネル数と機能の違い
両シリーズとも1chモデル・2chモデルが選べますが、XDGシリーズは2ch間の同期・位相制御や独立出力など上位機能が豊富です。
また、XDGシリーズには以下のような高度な出力機能が搭載されています。
・AM、FM、PM、FSKなどの変調機能
・スイープ出力(リニア/対数)
・バースト出力(回数・トリガ制御)
・波形クローン、ファイル管理、波形リコール機能
AGシリーズは、機能を必要最小限に絞ることで、使いやすく低価格を実現しています。
5.画面と操作性の違い
AGシリーズは2.8~4.3インチ程度のカラーディスプレイを採用し、物理ボタンとダイヤルで操作します。メニューはわかりやすく、必要な操作をすぐに呼び出せます。
一方、XDGシリーズは10.1インチの大型タッチパネルディスプレイを搭載しており、スマートフォンのような直感操作が可能です。画面は明るく視認性が高く、複数波形や設定を同時に表示できるのも利点です。
6.価格帯とおすすめ用途の違い
AGシリーズは、2万円台から購入可能なモデルが多く、価格重視で機能も十分という方にぴったりです。教育現場、学生実験、自作回路のテストなどに適しています。
XDGシリーズは7万円〜10万円台のモデルが中心で、高周波・高精度・多機能を求めるプロユーザー向けです。製品開発、試験設備、研究室などで本格的に活用できます。
7.結論|AGとXDG、どちらを選ぶべき?
・とにかく安くて基本機能が揃っていれば十分 → AGシリーズ
・高精度・高機能で長期的に使いたい → XDGシリーズ
「今すぐ信号を出して簡単なテストをしたい」「初めての1台が欲しい」という方には、AG1022FなどのAGシリーズが非常におすすめです。
「差動信号を出したい」「センサ波形を正確に模擬したい」「タッチ操作で効率よく作業したい」という方は、XDG2102などXDGシリーズが安心です。
まとめ|OWON製ファンクションジェネレータで賢く選ぶ
OWONは、ファンクションジェネレータのエントリー機からハイエンドモデルまでを幅広く揃えており、ユーザーの用途や予算に合わせて最適な1台を見つけやすいブランドです。
・AGシリーズは「まず試してみたい」方へ
・XDGシリーズは「しっかり活用したい」方へ
両シリーズとも、日本語マニュアル・国内保証・豊富なアクセサリが付属しており、導入後も安心して使い続けることができます。
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