■デジタルマルチメータとは?
デジタルマルチメータ(DMM:Digital Multimeter)は、電気や電子回路の基本的な測定に使われる多機能な計測器です。一般的に「テスター」とも呼ばれ、電圧・電流・抵抗といった基本的な電気量の測定が可能です。デジタル表示で数値が読みやすく、携帯型から据え置き型までさまざまなモデルが存在します。
■測定できる代表的な項目
デジタルマルチメータでは、以下のような項目を1台で測定できます。
・直流電圧(DCV)
乾電池や電源回路の電圧チェックに使用。
・交流電圧(ACV)
コンセントの電圧やACアダプタの確認に使用。
・直流電流(DCA)・交流電流(ACA)
回路に流れる電流を測定(多くはmA単位まで対応)。
・抵抗(Ω)
抵抗器の値や導通状態のチェックに使う。
・導通チェック(ブザー付き)
配線がつながっているか、断線していないかを簡易的に確認可能。
・ダイオードテスト
ダイオードの順方向電圧降下を測定し、正常かどうか判別。
・静電容量(一部モデル)
コンデンサの容量を測ることができる。
・周波数や温度(上位機種)
より高機能なDMMでは周波数測定や熱電対による温度測定も可能。
■アナログ式との違い
デジタルマルチメータは、従来のアナログ式に比べて以下のような点で優れています。
・視認性が高い:LCD表示により数値を正確に読み取れる
・多機能:1台で複数の測定に対応
・高精度:桁数(3½桁、4½桁、6½桁など)に応じて高分解能測定が可能
・自動レンジ機能:測定対象に応じて自動でレンジを切り替え可能
■測定レンジと分解能
DMMには「レンジ」と呼ばれる測定範囲があります。たとえば、電圧が0〜20Vの範囲であれば、20Vレンジを選ぶ必要があります。最近のモデルでは、自動で最適なレンジを選んでくれるオートレンジ機能が搭載されているため、初心者でも使いやすくなっています。
また、「分解能」とは、最小でどれだけの変化を読み取れるかを示すもので、これが細かいほど高精度とされます。
■使用時の注意点
デジタルマルチメータを使うときには、以下の点に注意することが大切です。
・測定対象とモードの一致を確認
電圧を測るつもりで電流モードのままだとヒューズが切れる可能性があります。
・リードの接続位置を間違えない
特に電流測定では、COM端子とmA/A端子を正しく使い分ける必要があります。
・感電・破損に注意
高電圧を測る際は、CAT規格(過電圧カテゴリ)に対応したモデルやリードを使用しましょう。
■用途例
・電子工作や基板のデバッグ
・自動車や家電製品の修理
・太陽光発電やバッテリー回路の点検
・工場や研究施設での設備保守や電気検査
DMMは、初心者からプロの技術者まで、あらゆる場面で使われる基本計測器です。
■まとめ
デジタルマルチメータは、電気や電子機器に関わるあらゆる作業の基本となる測定器です。1台あれば、電圧・電流・抵抗などのチェックがすぐに行え、作業効率と安全性を高めてくれます。OWONをはじめとする各社の多彩なモデルから、用途に合った1台を選び、ぜひ日常の測定業務に役立ててください。
関連製品
Previous: マルチメーターの「桁」とは何か
Next: オシロスコープ 電流 測定
もっと用語集
- 無線通信の開発におけるスペクトラムアナライザの活用法とは?
- OWON TAO3000シリーズ タブレット・オシロスコープの機能と活用ガイド
- OWON SPEシリーズ シングルチャンネル直流電源の使い方と機能解説
- OWON VDS6000シリーズ PCベース・オシロスコープ FAQ
- OWON VDS6000シリーズ PCベース・オシロスコープの特長と使い方
- OWON XDS3000シリーズ オシロスコープ FAQ
- OWON XDS3000シリーズ 4チャンネル デジタル・オシロスコープの特長と活用法
- OWON XSA800シリーズ スペクトラムアナライザ FAQ
- OWON XSA800シリーズ スペクトラムアナライザの機能と活用法
- スペクトラムアナライザとは?仕組み・使い方・活用例をわかりやすく解説
- ファンレス静音!実験室向けDC電源SPSシリーズ活用術
- EMI対策に必須!スペクトラムアナライザによるノイズ測定入門
- スペクトラムアナライザの選び方:帯域・RBW・DANLの意味と基準
- FFT vs スペクトラムアナライザ:どちらで周波数解析するべき?
- スペクトラムアナライザの測定例で学ぶ:チャネルパワー・ACP・OBWとは
- 測定現場で役立つスペアナの便利機能10選【マーカ・トレース・トリガ】
- 初心者向け!スペクトラムアナライザの使い方ステップガイド
- スペクトラムアナライザ導入事例:教育機関・開発・品質保証の現場から
- ハンドヘルド型 vs 据え置き型:スペクトラムアナライザの形状別メリット比較
- 1台2役!OWON SPMシリーズで電源と測定を同時に
- 300Wクラスで選ぶ直流電源ベスト3:SPE・SPM・SPS比較
- スペクトラムアナライザの基礎知識:オシロスコープとの違いとは?