■マルチメーターとは
マルチメーターは、電圧、電流、抵抗などの電気的な量を1台で測定できる汎用測定器です。「テスター」とも呼ばれ、電気・電子機器の保守点検や開発、学習などの現場で広く使われています。マルチメーターには大きく分けて「アナログ式」と「デジタル式」の2種類があります。ここではその違いについて解説します。
■アナログマルチメーターの特徴
アナログマルチメーターは、指針(針)が目盛り板の上を動いて測定値を示す方式です。内部に可動コイル式の電流計が内蔵されており、電気信号を直接的に機械的な動作に変えて表示します。
視覚的に針が動くことで、変化の流れや傾向を直感的に捉えやすく、時間的に変動する信号の観察や、ゆっくりとした電圧変化の追跡などに向いています。また、連続的に変化するアナログ信号の「動き」を見る際には有効です。
一方で、目盛の読み取りには慣れが必要で、視差(パララックス)による誤読や読み取りミスも起こりやすいという欠点があります。また、衝撃に弱く、落としたり強い電流を流したりすると針が折れることもあります。
■デジタルマルチメーターの特徴
デジタルマルチメーターは、測定結果を数字(数値)で液晶ディスプレイに表示します。値がはっきりと表示されるため、読み取りが簡単で正確です。現在ではこちらが主流となっており、家庭用からプロ向けまでさまざまな機種が販売されています。
デジタル式はオートレンジ機能やホールド機能、最大値・最小値表示、さらにはデータロガーやBluetooth接続といった多機能化が進んでおり、測定作業の効率化にも貢献しています。また、測定精度や表示分解能も高く、小さな電圧や微小な変化を捉えやすいというメリットがあります。
■アナログとデジタルの主な違い
表示方法の違い
アナログ:針による目盛り表示
デジタル:液晶画面に数値で表示
視認性・精度
アナログ:読み取りに慣れが必要、精度はやや低め
デジタル:直読できるので初心者にもわかりやすく、誤差が少ない
変化の捉えやすさ
アナログ:針の動きで信号の変化を視覚的に把握しやすい
デジタル:数値が刻々と変わるが、変動の流れはやや把握しづらい
価格や耐久性
アナログ:構造がシンプルなため安価な傾向があるが、衝撃に弱い
デジタル:安価な機種も多くなってきており、構造的には丈夫なものも多い
■どちらを選ぶべきか
一般的な電気作業や電子機器の点検には、デジタルマルチメーターが最適です。視認性が高く、多機能で、測定ミスも起こりにくいため、初心者から上級者まで幅広く対応できます。
一方、アナログマルチメーターは、ゆっくりと変化する信号や、電圧変動の傾向を「感覚的に見る」必要がある場面で有効です。ベテランの技術者が使う場面や、アナログ信号のクセを読むような用途に適しています。
■まとめ
現在ではデジタルが主流ですが、アナログにも独自の価値が残されています。それぞれの測定スタイルや用途に応じて、**「どちらが使いやすいか」**を意識して選ぶことが大切です。また、測定の正確さだけでなく、表示の見やすさや作業効率といった観点からも、自分に合ったマルチメーターを見つけましょう。
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