測定シーン別オシロスコープ活用術 第4回「アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い」
電子回路では、アナログ信号とデジタル信号が混在するのが一般的です。オシロスコープでこれらを正しく観測するには、それぞれの信号特性に応じた測定手法が求められます。ここでは両者の違いと、測定上の注意点を整理します。
アナログ信号の特徴と測定ポイント
■ 電圧が連続的に変化し、時間軸上で滑らかな波形を描く
■ 振幅・周波数・波形の歪みなど、信号の品質を視覚的に確認できる
■ 垂直分解能(ビット数)が高いオシロスコープほど、微細な変化を検出しやすい
■ 周波数帯域・ノイズフロア・サンプリングレートが重要な選定要素となる
デジタル信号の特徴と測定ポイント
■ 電圧が0と1の2値で変化するパルス波形で、立ち上がり/立ち下がりが急峻
■ 論理レベルの識別(例:TTL, CMOS)に応じたトリガーレベルの設定が必要
■ ジッタ・立ち上がり時間・グリッチなどのタイミング要素に注目する
■ プロトコルの内容を解析する際は、デジタルオシロやシリアルデコード機能が有効
両者を測定する際の違いと注意点
■ アナログ信号は波形の滑らかさや微細な変化を見るため、高分解能・高帯域の設定が推奨
■ デジタル信号は立ち上がりの時間幅が重要であり、ノイズが論理誤認の原因となることがある
■ プローブは入力インピーダンスと容量成分に注意し、アナログ用・デジタル用で使い分ける
■ アナログ信号は波形全体、デジタル信号はエッジやタイミングを中心に観察するのが基本
まとめ
アナログ信号とデジタル信号は、見た目も測定目的も異なるため、測定アプローチを適切に切り替える必要があります。特に混在回路では、両方を同時に観測し、関連性を把握するスキルが求められます。次回は「マイコンI/Oの応答チェック」について解説します。
測定シーン別オシロスコープ活用術(全8回)
対象読者:オシロを使ったことがある中級者向け
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■ 第3回:PWM信号のデューティ比確認
■ 第4回:アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い
■ 第5回:マイコンI/Oの応答チェック
■ 第6回:オーディオ波形の確認とひずみの可視化
■ 第7回:FFTを使ったノイズ源の分析
■ 第8回:複数チャネルの同時測定と相関分析
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