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測定シーン別オシロスコープ活用術 第8回「複数チャネルの同時測定と相関分析」
- 2025/6/15 -

測定シーン別オシロスコープ活用術 第8回「複数チャネルの同時測定と相関分析」

オシロスコープは複数チャネルを使うことで、複数の信号の関係性やタイミングを正確に確認できます。特にマイコンの制御波形や電源と負荷の応答、複数センサの同時計測など、現代の電子機器において複数チャネル測定は不可欠です。

複数チャネル測定の利点

■ 信号間のタイミング差(ディレイ)を可視化できる
■ トリガーを共有することで、すべての波形が正確に同期して表示される
■ 原因と結果、入力と出力など、相関関係の理解に役立つ
■ チャネルごとに独立してスケーリング・設定が可能で、複雑な信号でも個別に解析できる

具体的な活用例

■ マイコンI/Oとセンサ信号のタイミング確認
■ 電源スイッチON時のVinとVoutの応答比較
■ クロック信号とデータ信号の同期性チェック
■ モーター駆動信号と電流波形の同時観測
■ ノイズ源と影響を受ける回路の同時測定で、因果関係を解析

相関分析の考え方

■ 複数波形を並べて表示し、クロスチェックで変化のタイミングを比較する
■ タイムカーソルを2チャネルにまたがって配置し、時間差や遅延を数値で確認
■ 複数のトリガ条件を組み合わせることで、特定の事象発生時の状態を詳細に分析できる
■ 相関の傾向を見つけたら、記録・比較することで再現性や安定性も確認可能

測定のポイント

■ チャネル数が足りない場合は、多チャネルモデルや外部トリガとの併用を検討
■ チャネル間の位相ずれやサンプリング遅延に注意(高精度モデルでは影響少)
■ グラウンドの接続方法によって、測定結果が変動する場合もあるため配線に注意
■ 波形表示の重なりや色分け設定を工夫すると、視認性が大幅に向上

まとめ

複数チャネル測定は、単一信号の観察では見逃してしまう関係性や不具合の本質を把握する上で非常に有効です。波形間の相関を意識して活用すれば、設計ミスやトラブルを早期に発見できる強力な分析ツールとなります。

測定シーン別オシロスコープ活用術(全8回)

対象読者:オシロを使ったことがある中級者向け

■ 第1回:電源回路の基本測定(リップル/過渡応答)
■ 第2回:センサー出力の確認(温度/加速度)
■ 第3回:PWM信号のデューティ比確認
■ 第4回:アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い
■ 第5回:マイコンI/Oの応答チェック
■ 第6回:オーディオ波形の確認とひずみの可視化
■ 第7回:FFTを使ったノイズ源の分析
■ 第8回:複数チャネルの同時測定と相関分析

 

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