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オシロスコープの基本操作 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
- 2025/6/15 -

オシロスコープの基本操作 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
オシロスコープで正確な波形を観測するためには、プローブの正しい使用方法と接続が不可欠です。プローブの扱いに慣れていないと、ノイズが入ったり、誤った波形が表示されたりする原因になります。本記事では、プローブを安全かつ正確に使うためのポイントを紹介します。

プローブの接続方法の基本
■ プローブのBNCコネクタをオシロスコープのチャンネル入力にしっかり差し込みます
■ プローブ先端のフックやピンを測定対象の信号ラインに接触させます
■ 必ずグラウンドクリップを適切な接地ポイントに接続します(接続しないとノイズの原因になります)
■ 高周波測定や高速パルスの場合は、グラウンドループを短く保つことが重要です

正しいグラウンドの取り方
■ グラウンドクリップは信号ラインのすぐ近く、同一基板内のGNDに接続するのが基本です
■ グラウンド線が長すぎると、不要なインダクタンスによりノイズが入りやすくなります
■ 専用のスプリング型GNDアダプタを使用することで、高速測定時のノイズを抑制できます

測定精度を高めるコツ
■ プローブの減衰比(例:10:1)とオシロスコープ本体の設定が一致しているかを必ず確認します
■ キャリブレーション端子を使って、プローブ補正(プローブ調整)を行うことで、正確な波形を得られます
■ 測定対象が高インピーダンスの場合は、入力インピーダンスが高いアクティブプローブを検討します
■ 複数チャンネルを同時使用する際は、すべてのプローブでグラウンド接続が正しく行われているか確認します

やってはいけない接続例
■ グラウンドを接続せずにプローブだけで測定する
■ AC電源のL/N端子間を直接測るような危険な接続
■ オシロスコープのGNDがアースされていない環境で、異なる接地ポイントに複数接続する行為
■ 減衰比の設定ミスによる電圧表示の誤差

安全面での注意事項
■ 高電圧回路を測定する際は、必ず絶縁構造のプローブを使い、安全な手順で接続します
■ 装置の電源を切った状態で事前に接続準備を行い、通電後に測定を開始します
■ 測定対象が浮いた電位の場合や、ノイズの多い環境では差動プローブの使用が推奨されます

まとめ
プローブの正しい使い方を理解することで、波形の精度や信頼性が大きく向上します。特にグラウンド接続の重要性は見落とされがちですが、測定の安定性に直結するポイントです。次回は「オシロスコープで測定できる代表的な波形と活用例」について解説します。

オシロスコープの基本操作 シリーズタイトル一覧

■ 第1回「接続と初期設定」
■ 第2回「トリガー設定の基本」
■ 第3回「スケーリングと測定機能」
■ 第4回「波形の保存とデータ活用」
■ 第5回「オシロスコープのメンテナンスとトラブル対策」
■ 第6回「プローブの種類と選び方」
■ 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
■ 第8回「オシロスコープで測定できる代表的な波形と活用例」
■ 第9回「よくある測定ミスとその対策」
■ 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
■ 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」

 

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