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オシロスコープの基本操作 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
- 2025/6/15 -

オシロスコープの基本操作 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
オシロスコープは、基本的な波形観測だけでなく、活用次第で開発・評価・保守の現場に大きく貢献する測定器です。本記事では、実際の使用事例や、より深い解析を可能にする応用テクニックを紹介します。

活用事例① 電源回路の評価
■ DC-DCコンバータの立ち上がり応答やスイッチング波形の観察に利用
■ 出力電圧のリップル成分を測定し、フィルター性能を評価
■ 高速スイッチングノイズの可視化により、EMC対策の検討材料となる

活用事例② センサ信号の確認
■ 温度センサや加速度センサなどのアナログ出力をリアルタイムで観測
■ センサ応答の遅れやノイズ混入の有無を視覚的に確認
■ A/D変換前後の波形比較による信号品質のチェックにも有効

活用事例③ 通信信号のデコード
■ I2CやSPI、UARTなどのデジタル通信波形をプロトコル解析機能で視覚化
■ 通信エラーやタイミング不良の原因調査に活躍
■ 信号タイミングの検証やマスター/スレーブ間の動作確認に最適

活用事例④ インバータやモーター駆動信号の観測
■ パルス幅変調(PWM)のデューティ比変化の測定により、制御特性を評価
■ モーターの回転数と信号の関係を視覚的に把握
■ トランジェント解析により、突入電流や振動成分の影響を確認可能

応用テクニック① 波形演算機能の活用
■ 2つのチャンネルの差分を取ることで、疑似的な差動測定が可能
■ 積分・微分機能を使って、電流波形やパワー解析の補助ができる
■ 波形演算とマーカーを組み合わせて、定量的な波形解析を効率化

応用テクニック② 長時間記録と波形検索
■ ロングメモリ機能を使えば、長時間のイベント変化も詳細に観察可能
■ 特定パターンをトリガー条件に設定し、再現が難しい現象をピンポイントで記録
■ 波形検索機能により、膨大なデータから異常波形を迅速に抽出できる

応用テクニック③ リモート制御・自動測定
■ USBやLAN接続により、PCからオシロスコープを制御して自動化に対応
■ SCPIコマンドを利用して、測定結果の自動収集や帳票出力が可能
■ リモート計測により、危険エリアでの測定や遠隔地からの操作も実現

まとめ
オシロスコープは、アイデアと工夫次第で非常に幅広い用途に対応できます。基本操作をしっかり押さえた上で、活用事例や応用機能を取り入れることで、開発効率の向上や製品品質の改善に直結します。シリーズの最終回では、「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」についてご紹介します。

オシロスコープの基本操作 シリーズタイトル一覧

■ 第1回「接続と初期設定」
■ 第2回「トリガー設定の基本」
■ 第3回「スケーリングと測定機能」
■ 第4回「波形の保存とデータ活用」
■ 第5回「オシロスコープのメンテナンスとトラブル対策」
■ 第6回「プローブの種類と選び方」
■ 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
■ 第8回「オシロスコープで測定できる代表的な波形と活用例」
■ 第9回「よくある測定ミスとその対策」
■ 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
■ 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」

 

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