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オシロスコープの基本操作 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」
- 2025/6/15 -

オシロスコープの基本操作 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」
オシロスコープは数万円台の入門機から数百万円クラスのハイエンド機まで多種多様です。目的に合わない機種を選んでしまうと、性能不足や使い勝手の悪さに悩まされることになります。本記事では、購入時に押さえておきたいチェックポイントと、選定時に考慮すべき代表的な仕様について解説します。

チェックポイント① 測定対象の信号帯域
■ 測定したい信号の最高周波数の「5倍」程度の帯域幅を持つオシロスコープが理想
■ 例:100MHzのクロック信号測定には、最低でも500MHzの帯域幅が推奨される
■ 帯域が不足すると波形がなまって見え、正確な観測が困難になる

チェックポイント② サンプリングレート
■ 波形の再現性に直結する重要な仕様
■ 高速信号には2GSa/s以上のサンプルレートが推奨されることが多い
■ 複数チャンネル使用時にサンプルレートが分割されるタイプもあるので注意

チェックポイント③ チャンネル数
■ 単純なアナログ信号観測なら2チャンネルで十分だが、デジタル信号や比較測定には4チャンネル以上が便利
■ ロジックアナライザ機能を搭載したMSO(Mixed Signal Oscilloscope)も検討対象

チェックポイント④ メモリ長(レコード長)
■ 長時間のデータ記録や詳細解析には、メモリの深さが重要
■ 数十Mポイント以上の機種であれば、高速・長時間の現象も記録可能

チェックポイント⑤ 分解能(ビット数)
■ 一般的なオシロスコープは8ビットだが、より細かな信号変化を捉えたい場合は12ビット以上の高分解能機が有利
■ 電源回路やセンサ信号のような微小な振幅変化を測定する用途に適する

チェックポイント⑥ 拡張性と通信インターフェース
■ USB・LAN・HDMIなど、データ保存・遠隔操作・モニタ出力のための端子構成も確認
■ SCPIコマンド対応なら、自動化や制御システムとの統合も可能

チェックポイント⑦ ソフトウェアオプションと将来性
■ 波形演算、プロトコル解析、FFT、電源解析など、必要な機能が標準搭載かオプションかを確認
■ 購入後に機能拡張できる機種は、長期使用において有利

チェックポイント⑧ 信頼性とサポート体制
■ メーカーの信頼性、国内サポートの有無、校正・修理対応なども重要な判断材料
■ 保証期間や付属品(プローブ・ソフトウェア)も併せて確認

まとめ
オシロスコープ選びで重要なのは「用途に応じた適切な仕様を見極めること」です。高性能な機種が必ずしもベストとは限らず、コストや操作性とのバランスも考慮する必要があります。もし製品選定で迷った場合は、販売店や専門家に相談し、実際のデモ機を確認してからの導入をおすすめします。

オシロスコープの基本操作 シリーズタイトル一覧

■ 第1回「接続と初期設定」
■ 第2回「トリガー設定の基本」
■ 第3回「スケーリングと測定機能」
■ 第4回「波形の保存とデータ活用」
■ 第5回「オシロスコープのメンテナンスとトラブル対策」
■ 第6回「プローブの種類と選び方」
■ 第7回「プローブの正しい使い方と接続方法」
■ 第8回「オシロスコープで測定できる代表的な波形と活用例」
■ 第9回「よくある測定ミスとその対策」
■ 第10回「オシロスコープの活用事例と応用テクニック」
■ 第11回「オシロスコープ購入時のチェックポイントとおすすめ仕様」

 

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